力士名は　「ともづな　かじのすけ」　と言います。描いたのは「香蝶楼國貞（こうちょうろう　くにさだ）という絵師です。　 ２０１６年に東京都渋谷区のBunkamura で「俺たちの国芳 わたしの国貞」展が開かれました。大変面白い企画でした。 　国芳ファンは主に男たち。少年マンガを読むようにヒーローたちの活躍や個人よりも仲間に重きを置いてコミュニティを大切にする、言わば江戸っ子ヤンキー層ともいえる「俺たち」です。 　一方、国貞ファンの中核は、アイドルグループのメンバーを好きになるように歌舞伎役者をはじめ相撲取り、江戸の町中のイケメン着物屋や魚屋等のいなせなお兄さんたちに焦がれた女性たち、いわば“わたしの国貞”という感覚でした。 　今で言えば雑誌やポスター等のエンターテインメントを凝縮したメディア、つまり　“デコ”浮世絵!?　これを手にした江戸の女性たちのワクワク感はどれほどだったことか！　きっと行灯の灯りの下、何度も見ていたことでしょう。 　絵師も見る人を喜ばそう驚かそうと試行錯誤し新しさを追い求めました。だからこそ、現代の私たちが見ても心が高揚するのでしょう。 　現代のわたしたち、ポップカルチャーファンの美意識の行きつくところが此処だと気づかされる事と思いますがいかがでしょう。 　今回の作品は國貞の描いたスポーツ界の超イケメンはワタシのカジちゃんです。 　香蝶楼國貞とは初代歌川豊国の門人で師豊国の号を継いだ後、初代國貞 となる。香蝶楼（こうちょうろう）は別称・通称で作画期は１７８６年～１８６４年となります。 　またイケメン力士の友綱楫之助（かじのすけ）は江戸の末期、最高位は前頭 で生涯戦歴は91勝72敗という戦績を残した力士です。 　成績？　そんなに悪くはない。でもそんなことドウでもいいのよーッ！ そんなことより「キャーッ、カジノ助さーん！」 そんじょそこらのインスタ映えなんかよりもカッコイイーッ！ 　横２４．３ｃｍ　縦３１．５ｃｍ 　虫食い跡　内土俵の内側（写真１）と右端の下から５㎝のところ（写真２） 　写真１０は紙の裏の状態です。浮世絵版画で相撲画はの残っているものは多くなくしかもこれはとても良い状態のものと言えます。 hide